年上女ですが…それが何か???
ジャリ ジャリ−−−
息が吹きかかりそうなまでに詰められた距離に、体が震える。
これはヤバい………
完全に私が押されてる。
でもどうにも出来ない自分にただうろたえていると、
「それって……キスのおねだり?」
クスッと笑いを含んだ声に、はっとなる。
緊張のあまり、私は潤んだ目でコータ君を見上げていたらしい。
なにやってんのよ私ったら!!
相手は8つも下の高校生じゃないのよっ!
大人の余裕よ、大人の余裕………
「花粉症で目がかゆいのよ。悪い?」
プイと顔を反らし、平然を装う。
「ふ〜ん……」
なのに私が目をこするフリをしても、コータ君はまだニヤニヤと笑ったままで。
あー… なんか微妙に腹立ってきた。
勝手に大学生だと勘違いしてた私も悪いけど、大人をからかうアンタもどうかと思うわよ!
私を見下ろすその顔をキッと睨みあげ、
「昨日のお礼は言ったわよね?私。 じゃあ今度こそ、さようなら」
颯爽と踵を返し車に向かった。
我ながら、なんて格好いい大人の去り際を演出しちゃってんのよ……
その出来栄えに、思わず笑みをこぼしながら。
だけどここで隙をみせては元も子もないわけで。
無表情を装ってドアノブに手をかけたんだけど、
「待って、明さん!」
ドキッ−−−
ちょっと掠れた、だけど耳にすんなり入ってくる声に再び呼び止められて、さっき以上に体が震えてしまった。
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