年上女ですが…それが何か???






「な、何か用……」





ああ、ダメ。声も震えちゃう……





「大事なもの、忘れてるよ?」




ひたすら俯いて顔を見られないようにしてる私の傍に来るなり、そう言ってコータ君は胸ポケットから何かを取り出した。





「………それ…」



「あは、やっと顔がちゃんと近くで見れた」



「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!それどう見ても私の免許証じゃない!!」





そう、私とは対照的に余裕の表情で立ってるコータ君の手には、なぜか私の免許証が握られていて。




慌てて奪い返そうとしたんだけれど、それより早く、私の手の届かない場所までコータ君は右手を持ち上げた。





「交換条件があるんだ」



「なっ!? いいから早く返しなさい!!」



「ダメ〜。 明さんがその条件を飲むまで返さない」





クスクス笑ってピョンピョン飛び跳ねてる私を見下ろすコータ君。





キーーーー!!!





やっぱりクソガキはクソガキだわっ!!





ムカムカしながらも、私が飛ぶのを止めると、





「俺を家まで送って?」





小首をかしげて顔を覗きこんでくる。





っつうか、今さらカワイ子ぶるな!!





「はっ?? 学校は?」



「今日は早退する」



「ずいぶん余裕なのね? 一応受験生でしょ?」



「1日ぐらい早く帰ったからって、成績に影響は出ないよ。
それより、明さんが免許証不携帯で車を運転する方がヤバくない?」





なんて言うんだろう……ああ言えばこう言う……?





この口が達者なクソガキに、私は呆れてモノも言えなくなった。





その代わり、助手席を指差して視線で乗るよう促す。





この屈辱感、必ず近いうちに晴らしてやるからね!





心の中でひたすら隣のご機嫌なガキに恨み言を呟きながら、私は渋々エンジンをかけた。








´

< 51 / 105 >

この作品をシェア

pagetop