年上女ですが…それが何か???
「な、何か用……」
ああ、ダメ。声も震えちゃう……
「大事なもの、忘れてるよ?」
ひたすら俯いて顔を見られないようにしてる私の傍に来るなり、そう言ってコータ君は胸ポケットから何かを取り出した。
「………それ…」
「あは、やっと顔がちゃんと近くで見れた」
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!それどう見ても私の免許証じゃない!!」
そう、私とは対照的に余裕の表情で立ってるコータ君の手には、なぜか私の免許証が握られていて。
慌てて奪い返そうとしたんだけれど、それより早く、私の手の届かない場所までコータ君は右手を持ち上げた。
「交換条件があるんだ」
「なっ!? いいから早く返しなさい!!」
「ダメ〜。 明さんがその条件を飲むまで返さない」
クスクス笑ってピョンピョン飛び跳ねてる私を見下ろすコータ君。
キーーーー!!!
やっぱりクソガキはクソガキだわっ!!
ムカムカしながらも、私が飛ぶのを止めると、
「俺を家まで送って?」
小首をかしげて顔を覗きこんでくる。
っつうか、今さらカワイ子ぶるな!!
「はっ?? 学校は?」
「今日は早退する」
「ずいぶん余裕なのね? 一応受験生でしょ?」
「1日ぐらい早く帰ったからって、成績に影響は出ないよ。
それより、明さんが免許証不携帯で車を運転する方がヤバくない?」
なんて言うんだろう……ああ言えばこう言う……?
この口が達者なクソガキに、私は呆れてモノも言えなくなった。
その代わり、助手席を指差して視線で乗るよう促す。
この屈辱感、必ず近いうちに晴らしてやるからね!
心の中でひたすら隣のご機嫌なガキに恨み言を呟きながら、私は渋々エンジンをかけた。
´