年上女ですが…それが何か???




「~♪~~♪~~♪」





隣から聞こえてくる何の曲かもわからない陽気な鼻歌が耳に付く。





だけど絶対喋ってやるもんかって気持ちが私の中にある限り、口を開かないつもりにしてるから、文句も言えない。





って、別に文句ぐらい言えばいいんだけど……
話し始めると、さっきみたいに自分のペースがどんどん狂わされそうで恐いから。





代わりに、ラジオの音量を上げてやった。





するとちょうど流れ始めた曲が、私が小学校の時に流行った曲で。





へへーんだ、ガキは知らねぇだろっ。





私はコータ君の鼻歌に負けない音量でそれを一緒に口ずさむ。





「あ……この曲……」





ん?知ってんの?





「母親がよく歌ってた曲だ……」





ガクッ---





「I miss you~♪」





するといきなり歌い始めたコータ君。






……何、コイツ………






そのあまりの上手さに呆気にとられる私。






しかも完璧にアレンジしてあって、原曲よりも遥かに切なくていい曲に聞こえる。








「あははっ、明さん、口が開きっぱなしだよ?
………っていうか、大丈夫?」





聞き終えて、不覚にも感動のあまり涙を流す私を、コータ君が心配そうに覗きこんでくるから、慌てて涙を拭った。





「か、花粉が今日はひどくて………」






涙の理由を無理矢理すり替える自分に呆れるけど……





しょうがないじゃない!
これ以上、このガキを調子に乗らせるのは絶対イヤなんだもんっ!!




そう思っても、なかなか引いてくれない涙のせいで視界がぼやけるから、ちょうどあったコンビニの駐車場に仕方なく車を止めた。





クッソーーー!
話す以外でも人のペース乱してくるなんて、このガキ相当な玉じゃんかっ!!









´







< 52 / 105 >

この作品をシェア

pagetop