年上女ですが…それが何か???
「~♪~~♪~~♪」
隣から聞こえてくる何の曲かもわからない陽気な鼻歌が耳に付く。
だけど絶対喋ってやるもんかって気持ちが私の中にある限り、口を開かないつもりにしてるから、文句も言えない。
って、別に文句ぐらい言えばいいんだけど……
話し始めると、さっきみたいに自分のペースがどんどん狂わされそうで恐いから。
代わりに、ラジオの音量を上げてやった。
するとちょうど流れ始めた曲が、私が小学校の時に流行った曲で。
へへーんだ、ガキは知らねぇだろっ。
私はコータ君の鼻歌に負けない音量でそれを一緒に口ずさむ。
「あ……この曲……」
ん?知ってんの?
「母親がよく歌ってた曲だ……」
ガクッ---
「I miss you~♪」
するといきなり歌い始めたコータ君。
……何、コイツ………
そのあまりの上手さに呆気にとられる私。
しかも完璧にアレンジしてあって、原曲よりも遥かに切なくていい曲に聞こえる。
「あははっ、明さん、口が開きっぱなしだよ?
………っていうか、大丈夫?」
聞き終えて、不覚にも感動のあまり涙を流す私を、コータ君が心配そうに覗きこんでくるから、慌てて涙を拭った。
「か、花粉が今日はひどくて………」
涙の理由を無理矢理すり替える自分に呆れるけど……
しょうがないじゃない!
これ以上、このガキを調子に乗らせるのは絶対イヤなんだもんっ!!
そう思っても、なかなか引いてくれない涙のせいで視界がぼやけるから、ちょうどあったコンビニの駐車場に仕方なく車を止めた。
クッソーーー!
話す以外でも人のペース乱してくるなんて、このガキ相当な玉じゃんかっ!!
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