年上女ですが…それが何か???
自分の中でじわじわと沸き起こってくる母性本能にも似た感情。
そのせいで綻びそうになる口元を引き締めつつ、私はコータ君に頭を下げた。
「だから気にしてないって。
いい加減、顔見せてよ」
「それは……」
ムリ、と伝える前に、伸びてきた手が私の両頬に添えられた、と思ったら……
「顔……見せて?」
徐々に上を向けられていく私の顔。
や…ちょっ…えっ…!?
触れられてる場所が無茶苦茶熱を帯びてきてて熱い。
っていうか、いつの間に隣にっ!?
ついに私の方を向いて片足だけをソファーの下に降ろした状態で座るコータ君と視線がぶつかってしまった。
ドキドキドキ−−
「クスッ… やっと見れた」
ドッキーン−−
「気になる話って、もしかして俺のこと?」
「………」
今が噂の真相を聞く絶好のタイミングなのはわかってる……
わかってるんだけどっ!!
「明…さん?」
きゃー!!!
そんな真っすぐな瞳で見ないで!
そんな甘い声で名前を呼ばないで!
今すぐ押し倒したくなるでしょーがっ!!!
「……えっとぉ、あのぉ…」
そんなケダモノ的欲望を必死に抑え込みながら、私がしどろもどろに言葉を発していると、
「……なわけないよね…」
ふっと自嘲気味の笑みを落としたコータ君の手が、だんだん力を失くして離れていこうとした。
………って!
「ちょっと待ったぁぁ!!! 」
ボスッ−−
私が押し倒したコータ君の体が、音を立ててソファーに沈んだ。
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