ティアラ2
近所のクリーニング屋に行ってから、電車に乗って街にまで出たあたし。

休日ということもあって、繁華街はひとで賑わっている。

「どこを見てもカップルばっか」

みんなにこにこして、幸せそう。

ハァッと大きくため息をつく。するとそのとき、誰かがあたしの肩に手を置いた。


「ひとり?」

「いまから俺らと遊ばない?」

振り向くと知らない男がふたり。ナンパかよ、と心のなかでつぶやきながら無視をする。

「ちょ、シカトしなくてもいいじゃん」

「俺たち、怪しいやつじゃないしさ」

……十分、怪しいんですけど。

ついてくるふたりから離れたくて、足取りもだんだん早くなる。

「待ってよ」

「いたっ……放してよ!」

ガッと掴まれた二の腕。力が強くて、なかなか振り払えない。

いら立つあたしは仕方なく、意を決して大声をだそうとする。そのとき……。

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