海の乙女
あたしは慌てて下を向き、頭にかけていた布を引っ張り、更に深くかぶりなおす。
「な、何ですか?」
「この辺りで銀色の髪をした少女を見なかったか?」
「さ、さぁ?見てませんけど…?あの、あたし急いでるので…」
「あ、ちょっと…」
あたしは急いでこの場を離れようと一歩踏み出すと、歩いていた通行人に勢いよくぶつかり尻もちをついてしまった。
その時、髪を隠していた布がヒラヒラと落ちてしまった。
「あっ…!」
しまった…!!
「銀髪!!」
「いたぞ!人魚だ!!」
近くにいた兵士はあたしを見つけたのを周りの兵隊に知らせるために甲高い笛を鳴らす。
あたしは慌てて人混みをかきわけ、その場から逃げだした。
「逃げたぞ!」
「追え!!」
後ろから兵が叫ぶ声が聞こえたが、あたしは振り返らず一心に走り続けた。