ルージュの森の魔女

――ロゼの街を通り、ルージュの森にたどり着ついた三人は森の入口に立っていた。
濃い霧に覆われた夜の森は不気味な雰囲気を醸し出している。

「……やっとついたな」

「ええ、ですけど…これは凄いですね……」

濃い霧と深い闇のせいで奥まで見えないが、そこから放たれる言い様のない違和感に三人とも自然に眉間が険しくなる。

「魔物がうじゃうじゃ出そうだぜ…」

いつもは好戦的な赤髪の青年もこの時ばかりは苦虫を噛み潰したような表情をしていた。


―――『魔物』……この世界には、人間や動物だけでなく精霊やエルフ、獣人……そして魔物や魔族など人ではない人外なるモノが存在している。
しかしそれらが人間たちと仲良く共存し暮らしているというわけでなく、今まで幾度となく行われた人間と人外なるモノの争いからお互いの間に深い嚇執が生まれていた。
それ以来、人外なるモノたちは深い森の奥に潜み人間たちと距離を置いて暮らすようになったのである。


周りの気配に気を配りながらも、三人は暗い闇の中を早足で進んでいく。途中何匹か魔物に出会ったが、それ以外は何もなく、順調に目的地へと進んで行った。


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