ルージュの森の魔女
「…それで、あなたたちは?」

思わず見とれてしまった金髪の青年はまだ名を名乗っていなかったことに気づき、内心己を恥じる。

「名乗るのが遅れてしまって申し訳ない。私はロスベニア帝国 帝国軍 第1部隊隊長 レオドール・ハウゼンだ」

レオドールと名乗った青年は見事なプラチナブロンドの髪に翡翠色の透き通った瞳をした美しい青年だった。大理石のような白い肌に整った顔立ちは一見女性のように見えるが、すらりとした長い手足に均整のとれた体躯が彼を男と主張していた。
そして今度は右隣の青年が口を開く。

「同じく、私はロスベニア帝国 帝国軍 第1部隊 隊員 ルイス・ティルバンと申します。以後お見知りおきを……」
丁寧な口調で朗らかに微笑む青年は淡い若草色の美しい長髪を一つに結わえており、切れ長の銀色の瞳で柔らかく微笑む。体の線も細くどちらかと言うと見た目ではレオドールより彼の方が女性らしい。とても剣士とは思えないほど儚げな顔立ちをしている青年だった。
最後に左隣にいた青年が、ニカッと笑いながら名を名乗る。

「同じく俺はロスベニア帝国 帝国軍 第1部隊 隊員 ジン・ギルバートだ。よろしくな!」

まだ成長段階にいるような彼は三人の中でも一番若々しく、生気に満ちた表情をしていた。炎のような緋色の髪を上に立たせ、明るい茶色の瞳に日に焼けた浅黒い肌をしたジンは中々端正な顔立ちをしている。もう少し経ったら身長も伸び一番男らしい青年になるだろう。


「…そうねぇ。どちらかというと左の子が一番タイプかしらぁ」


「えっ?」

ボソッと呟いた声が聞こえなかったのか三人は不思議そうな表情でこちらを見つめる。

アリーナは「ふふ、独り言よ」と軽く笑うと、三人をテーブル席に案内した。





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