飛べない鳥
頭の中は唯のことばかりだ。


考えれば考える程、
頭から離れてはくれない。

その度、心臓が弾む。



早く唯に会いたい。


あんなにも憂鬱だった学校が、今では早く学校の時間になって欲しいと望んでいる。


唯が見たい。


唯と話がしたい。


早く明日になってくれ。



『遥斗、私そろそろ帰るね!』



美咲が立ち上がり、自分の荷物を持って玄関の方に歩いて行った。



俺はその後をついていく。

『じゃあまた学校でね!』


『今日は悪かったな、あとありがとな』



『楽しかったよ!またね』


美咲は手を振り、
俺の部屋から出て行った。


俺は美咲が消えていくのを見ていた。



鍵を閉め、俺はベランダへと出た。


そして夜空を見上げる。




『今日は星が見えねぇな…』



今日の夜空は、星がひとつも見えなかった。


ただぽつんと浮かぶ月を、俺はずっと見ていた─…
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