飛べない鳥
またぽつぽつと雨が降り出した。


俺は歩く速さを速くし、
マンションに向かった。


マンションは薄暗く、
少し寒気がした。


俺は部屋に着くと、
タオルで濡れた体を拭いてやり、浴槽にお湯を溜めた。


そして濡れた制服を乾かし、ハンガーにかける。



7時までにはまだ時間がある。



それまで風呂に入ったり、テレビを見たりしてゆっくり過ごした。



7時近くなった頃、
外は大雨だった。


正直行きたくない、と思ったが、和馬と淳に会いたいという気持ちが強かったため、行く支度をした。


髪の毛をセットし、
適当な服を来て出発しようとした頃だった。



─ピーンポーン…


誰かが来たようだ。

でも誰だ?何の用だ?



『響か?』


そんなはずない。


俺は鍵を開け、
誰かを確認した。



玄関の前にいたのは、
全身をずぶ濡れにし、
目から涙を流して立っている一人の女性だった。



俺は無意識の内に、響にメールを送っていた。





《やっぱ今日は無理だ…
大事な用が出来た》
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