飛べない鳥
チャイムが鳴った時、
少しだけ期待してしまったんだ。


玄関の前にいるのは唯なのかなって。


俺はバカだよな?


唯は雨が嫌いなのに、
来れるはずないじゃないか…


期待するだけ無駄だった─…



────………



昨日の大雨が嘘のようなくらい今日の天気は快晴。


昨日少しも顔を出さなかった太陽は、今日は元気な顔をしている。


カーテンを開け、
俺は朝の街を見下ろした。


道路には大きな水溜まりがある。


太陽の光が反射してキラキラと輝いていた。


木の葉からポタポタと雫が落ちていき、水溜まりに跳ねかえる。



俺はいつも通り、朝の支度から始めた。



そして、いつもと同じ時刻に響が迎えにくる。
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