飛べない鳥
──……この後の授業の、先生の話は何ひとつ入って来なかった。



唯と葵のことが気になって気になって…


気が付けばもう、帰る時間となっていた。



先生にさよならを告げ、
教室を次々に出ていく生徒。


俺もその一人だ。


外はまだ雨は降っていない。


降りそうな感じはするのだが、降らない。



結局20パーセントは当たらなかった、と思いながら響と教室から出て行った。


『お前先生のとこ行かなくていいのかよ?』



『大丈夫!夜会うし!』



『ふ~ん』




下駄箱で靴を履き替え、
学校から姿を消そうと、門へと向かう。


『あの人超かっこいいんだけど!!』


周りの女生徒達が門の方を指差しながら興奮している。



俺は校門の方を見た。


そこには、俺達と違う制服を着た…あいつがいた。



『遥斗…あれって…』



『あぁ、あいつだ…』



嵐は、もうそこまで来ていた─…



『遥斗?少しお前と話がしたいんだけど』




─…何しにきたんだよ…




──…葵…
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