飛べない鳥
階段を一段ずつ下りていく。


好きって伝えておけばよかったかな…


そんな後悔をしたってもう遅い。



俺は前に進む。



─…教室に戻ると、香織が走って俺のところへ来た。

そして潤んだ瞳で両手を合わせて俺に謝ってきた。




『遥斗!昨日はほんとーにごめんね…私無神経だった…』



『今更なんだよ?別にいいって』



『でもっ…』



『もうけじめついたからいいよ』



俺は自分の席へと着く。
教室に響の姿はなかった。


…あぁ、先生のとこか。



香織はまだ俺に謝ってくるが、俺は大丈夫だと言って、謝るのを止めさせた。



すると、唯が教室に姿を見せる。


だが俺は一度も唯の方を見なかった。



もし見てしまったら歯止めが効かなくなってしまう。


俺は知らなかったんだ。


俺が屋上を出ていったあと、唯は一人泣いていたということを──……
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