飛べない鳥
無理矢理笑顔を作って、俺を安心させようとしたね。

杏は強いけど、もっと嘆いていいんだよ?

もっとワガママ言っていいんだよ?



『俺最低なことしたんだよ?何で…』



『だって…遥斗が好きになった人なんでしょ?私…何も言えないよ…遥斗は私を好きになれなかったんでしょ?しょうがないよ…』



大粒の滴を流す杏。

杏の強がりが余計俺の心を痛くする。



『ごめんな…』



『遥斗…その人のこと好き?』



突然の杏の質問に、俺は戸惑ったが、ちゃんと答えた。



『好きだよ』



『遥斗、幸せになってよ!私遥斗に出会えて幸せだったよ?幸せにならないと怒るから…サヨナラ…』



杏は最後にこの言葉を俺に言って、その場から走り去って行きました。


杏の短い短い…片想いは、俺のせいでぐちゃぐちゃにした。



杏…サヨナラ。



杏…ありがとう。
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