飛べない鳥
『わりぃ…遥斗…』


突然、響が口を開け、俺に謝ってきた。


『別に俺が口出す事じゃねぇし、響の問題だろ?
でもな…響…』


俺の話すスピードが遅くなっていく。



響は俺の方を向いて俺を見た。





『自分を大切にしろ』





響、お前は絶対いい男になる。


目に溜ってる涙、
すげぇ綺麗だぞ。


俺の涙は枯れてしまったけど、
お前は枯れていねぇんだから、いっぱい流せよ。な?



『俺…佐藤先生だけだ』



『それでいいんだよ、バーカ』



響は八重歯を出しながら、笑った。


そして食べかけだった野菜炒めを残さずに食べ終えた。



『なぁ遥斗?何か用だったんじゃねぇの?』


飲んでいた水のグラスを離し、俺は響に話し始めた。


この気持ちは、
俺の中で初めて芽生えた気持ちだったんだ─…
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