飛べない鳥
『すげぇ人気なんだけど、男には興味なくて、告白とか全部断わってるんだって!』



『ふ~ん…で?』



俺は洗濯物のことに気付き、ベランダへと出た。



『だから話しかけられるとか滅多にない事なんだって!』



春風はもうとまっていた。

ポカポカな陽気に包まれた洗濯物は、とても喜んでいた。



俺は洗濯物を片付ける。



『へぇ…』



『お前はもちろんオッケーしたよな?』



俺は動くのをやめ、響を見た。



『…するはずねぇだろ』



『うっわぁ…もったいねぇ…』



響は肩を落とし、残念な顔をしていた。



…俺は顔に出さなかったが、本当は嬉しかったんだ。


菊地唯は男に興味がないのに、男の俺に話しかけてくれたから。



ちょっとだけ、優越感に浸れた。
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