星の唄


『だけどね…プログラムを作らなければ、すでに碧い星は本当に黒くなっていたかもしれない。…奏空達も生きていられなかったかもしれない。』


満月は複雑そうに笑顔を作った。


『当時、プロジェクトは2つあったの。1つは解るわよね?…もう1つは碧い星を棄てて、違う星に移る¨ノアの箱舟計画¨。』

「違う星…?」
「…そんなものあるのか?」


奏空も結樹も室長をしているが、そんな話は聴いたこともない。
二人は顔を合わせて首を傾げた。

もちろん¨違う星¨について、知らなくても無理はない。
それは世界中の研究員の中でもごく一部にしか知らされていない機密だった。


『あるのよ。だけどね…違う星に移ると言っても、行けるのは選ばれた一部の人だけ。残された人は碧い星と一緒に棄てられる。そういうプロジェクトだったの。』

「…なんだよ、それ…。」
「…そんなのプロジェクトなんて言わない…。」


結樹も結衣も知らない。
今はトップにいる舞衣も、結樹や結衣に¨もう1つのプロジェクト¨の話をしたことはなかった。
二人の瞳は揺れていた。


『その話を知った世界中の権力者は次々に¨違う星¨への切符を手に入れた。自分が生きるために争いを始めた…。』


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