Ghost Lovers

湿った嫌な空気が部屋中を支配していて
掃除したはずなのに嫌な空気で溢れていた。

……これが、妖怪の邪気?


「大丈夫……?」
「ひゃあっ!」


突然肩に触れられた手は、
雨に濡れたせいかじっとりと湿っていて、
背筋が凍るほど冷たい。

私の叫び声に驚いたのか、
目の前の人影は一歩微かに後ずさった。


(駄目駄目…っ!怖がってたら何もできない。)


そう自分に言い聞かせて、私はゆっくりと顔を上げた。
徐々に見えてくる姿に
生唾をごくりと飲み込む。

そこにいたのは、やはりさっきホールで見たのと同じ
あの髪の長い女性だった。



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