花の家
わたしを殺さなくたって、このひとは十分に人間らしい。

香里は、甲矢の眉根を寄せた顔を見て思った。

その加減のつかない力を、ちょっと加えれば わたしは死ぬのに。

香里の首にそえられた指は、それを拒んでいる。


「かぶとやさんは、三年生なんですか?」


「なぜ今、そんなことを聞くんじゃ……」


頭がおかしいんじゃないのか、と言いたそうな顔が面白い。


「わたしも生まれた家の特殊さに悩んでたところなので、仲良くなれるかと思って」


立場は真逆だけど、家に振り回されてるのは同じ。

たぶん鈴や、ちーちゃんや、先生より……今はこのひとの気持ちが分かる。


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