花の家
「あんまりうちの幼なじみをいじめるなよ、甲矢センパイ」


「……蜂の家か」


とつぜんの声に振り向くと、鈴が渡り廊下の手摺りの上に立っていた。


どこから? いつの間に?

ぜんぜん気がつかなかったことに驚く。


「下から跳ねたのか……大胆なことをしよる。

一般生徒に見られても構わぬのか?」


「心配してもらわなくても、校庭からじゃ距離がありすぎて見えねぇよ。

あんたと違って、俺は日頃のおこないがいいんでね」


下から? ここまで?


そんなにジャンプ力のある人間がいるわけない!


そう思うのに、鈴はまったく否定しない……え、ほんとにそうなの?


「ふん、貴様も開花で身体能力が上がっているようじゃな。

校庭から、ここが見えて駆けつけてきたんじゃろう。化け物の視力じゃ」


それとも鼻がきいたか、蜜虫よ。


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