愚者
昼食の時間。葵は小夜子に誘われ屋上へと出る為に非常扉のドアノブを回すが、当然の様に鍵が掛かっている。だが、小夜子は迷う事無く安全ピンを取り出し、ドアノブの鍵をガチャガチャと弄り、簡単に開けてしまった。
「この場所はお気に入りでね。稀に鍵が掛かっている時はあるけど、大半は開いてるんだよ」
小夜子は笑顔で葵に話し掛ける。葵は小夜子の手際の良さに驚くが、眼に飛び込む見渡す景色の良さに感嘆の声を上げる。
「綺麗……」
五階建ての校舎の屋上。街を見渡す事が出来る絶好の場所だ。葵は風に揺らぐ髪を軽く抑え乍小夜子を見る。
「この上が更に良いんだ」
小夜子は給水等を指差して昇り始め、葵も後ろを付いて行く。
「この場所に立っていると全てから解放された気分に成るんだ」
「すごい!」
「この場所で食べる昼食は格別だよ。閉鎖された空間じゃ息が詰まるだけだ。そう思わないかい?」
「うん。凄く気持良いよ」
葵の心は自然と小夜子の言葉に惹かれて行く。意味深な言葉の数と言動。葵の短い人生の中では、今迄に見た事の無いタイプだ。
風が吹き抜ける中で二人は弁当を広げる。葵は自分で作った物を、小夜子はパンを取り出した。
「澱んだ空気の中で食べるよりは健全だね」
「何時も屋上で食べているの?」
「雨の降る日以外は屋上だよ」
「そうなんだ。クラスの人達とは?」
「興味無いね」
「この場所はお気に入りでね。稀に鍵が掛かっている時はあるけど、大半は開いてるんだよ」
小夜子は笑顔で葵に話し掛ける。葵は小夜子の手際の良さに驚くが、眼に飛び込む見渡す景色の良さに感嘆の声を上げる。
「綺麗……」
五階建ての校舎の屋上。街を見渡す事が出来る絶好の場所だ。葵は風に揺らぐ髪を軽く抑え乍小夜子を見る。
「この上が更に良いんだ」
小夜子は給水等を指差して昇り始め、葵も後ろを付いて行く。
「この場所に立っていると全てから解放された気分に成るんだ」
「すごい!」
「この場所で食べる昼食は格別だよ。閉鎖された空間じゃ息が詰まるだけだ。そう思わないかい?」
「うん。凄く気持良いよ」
葵の心は自然と小夜子の言葉に惹かれて行く。意味深な言葉の数と言動。葵の短い人生の中では、今迄に見た事の無いタイプだ。
風が吹き抜ける中で二人は弁当を広げる。葵は自分で作った物を、小夜子はパンを取り出した。
「澱んだ空気の中で食べるよりは健全だね」
「何時も屋上で食べているの?」
「雨の降る日以外は屋上だよ」
「そうなんだ。クラスの人達とは?」
「興味無いね」