愚者
「発見されたばかりだからな。ニュースにも成っちゃいないさ。俺が独断で動いているだけだ。まっ、遅かれ早かれマスコミが嗅ぎ付けて騒ぎ出すさ」
「私は知りませんよ」
「そうか。若し変わった事や情報が入ったら連絡をくれ」
富田は財布から名刺を取り出しテーブルに置く。
「この店の珈琲とサンドウィッチの味は気に入った。また、寄らして貰おう」
富田は捨て台詞とも取れる言葉を残し、カウンターに提示した金額を置いて外に出て行く。
「……関係は無かったか」
私は安堵の溜め息を付く。幾ら時効を越えたと云っても、警察に眼を付けられるのは気持の良い物では無い。犯した罪を償わないで逃げる道を選んだ限りは、何時迄も付き纏う不安と恐怖。私に科せられた業だ。私はシンクに食器を放り込み洗物をする。この食器の汚れの様に、私の過去も洗い流す事が出来れば良いのに。不意にそんな思いが頭を過ぎる中、私は何時もの様に仕事に従事する事にした。
*
第三章 遊び
薄暗い中規模クラスの会議室。楕円形のテーブルに十数人の男達が座っている。男達は、大半が仕立ての良いスーツに身を包んでいる。一見すれば企業の重役か経営者としか見えない。
「つまらん結果だな」
一人の男がポツリと呟き、テーブルの上に札束を無造作に放る。金額にして百万。十分過ぎる大金の筈だが、男は気に止める事も無く、テーブルの金を横目に懐から煙草を取り出して一服点ける。
「予想が外れて、怒り心頭と云う所か?」
禿頭の男が揶揄する様に男に言葉を投げ掛ける。その言葉は挑発する様でもあり、男の神経を逆撫でする。
「くだらん挑発は止めて貰おうか」
「私は知りませんよ」
「そうか。若し変わった事や情報が入ったら連絡をくれ」
富田は財布から名刺を取り出しテーブルに置く。
「この店の珈琲とサンドウィッチの味は気に入った。また、寄らして貰おう」
富田は捨て台詞とも取れる言葉を残し、カウンターに提示した金額を置いて外に出て行く。
「……関係は無かったか」
私は安堵の溜め息を付く。幾ら時効を越えたと云っても、警察に眼を付けられるのは気持の良い物では無い。犯した罪を償わないで逃げる道を選んだ限りは、何時迄も付き纏う不安と恐怖。私に科せられた業だ。私はシンクに食器を放り込み洗物をする。この食器の汚れの様に、私の過去も洗い流す事が出来れば良いのに。不意にそんな思いが頭を過ぎる中、私は何時もの様に仕事に従事する事にした。
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第三章 遊び
薄暗い中規模クラスの会議室。楕円形のテーブルに十数人の男達が座っている。男達は、大半が仕立ての良いスーツに身を包んでいる。一見すれば企業の重役か経営者としか見えない。
「つまらん結果だな」
一人の男がポツリと呟き、テーブルの上に札束を無造作に放る。金額にして百万。十分過ぎる大金の筈だが、男は気に止める事も無く、テーブルの金を横目に懐から煙草を取り出して一服点ける。
「予想が外れて、怒り心頭と云う所か?」
禿頭の男が揶揄する様に男に言葉を投げ掛ける。その言葉は挑発する様でもあり、男の神経を逆撫でする。
「くだらん挑発は止めて貰おうか」