愚者
第四章 因果
笠原葵は一番後ろの窓際の席で空を見上げている。転校してから数日が経過したが、これと云った友人が出来る訳でも無く、日々が流れている。ある意味では平和だが、孤独過ぎる毎日に心が弱っている。だが逆に見るのであれば、イジメの対象に成っていない自分に安堵する事もある。男女共学の教室内は、表面的には平和の様にも見えるが、実質的にはそんな事は無いと云う事位は葵自身が見に染みて分かっている。一クラス三十人の閉鎖された空間。転校初日。好奇の視線を浴び続けるが、誰一人として話し掛けて来る事はいない。それは、葵自身が心の結界を張り巡らせている事も一つの要因には成っているが、美醜と云う点で葵は美しい部類に属し、独特の孤独感を持っているからか、気軽に話し掛け難い様で教室内では完全に異端者として浮いている。
「今日の授業はこれ迄だ。掃除当番の者は確りとやって置くんだぞ」
デップリと肥えた身体がプルプルと震える。中年に差し掛かろうかと云う年齢の男性担任は、事勿れ主義を前面に押し出した性格なのか、完全に一線を引いたサラリーマン的な授業の進め方と生徒への対応に終始している。
笠原葵は一番後ろの窓際の席で空を見上げている。転校してから数日が経過したが、これと云った友人が出来る訳でも無く、日々が流れている。ある意味では平和だが、孤独過ぎる毎日に心が弱っている。だが逆に見るのであれば、イジメの対象に成っていない自分に安堵する事もある。男女共学の教室内は、表面的には平和の様にも見えるが、実質的にはそんな事は無いと云う事位は葵自身が見に染みて分かっている。一クラス三十人の閉鎖された空間。転校初日。好奇の視線を浴び続けるが、誰一人として話し掛けて来る事はいない。それは、葵自身が心の結界を張り巡らせている事も一つの要因には成っているが、美醜と云う点で葵は美しい部類に属し、独特の孤独感を持っているからか、気軽に話し掛け難い様で教室内では完全に異端者として浮いている。
「今日の授業はこれ迄だ。掃除当番の者は確りとやって置くんだぞ」
デップリと肥えた身体がプルプルと震える。中年に差し掛かろうかと云う年齢の男性担任は、事勿れ主義を前面に押し出した性格なのか、完全に一線を引いたサラリーマン的な授業の進め方と生徒への対応に終始している。