愚者
「全てを把握している訳じゃねえが、何があった?」
「偶々、公園で時間を潰していたら親父狩りに遭遇しただけですよ」
「それであの大立ち回りか。大人しそうな顔をして、とんだ食わせ物だな」
「誰にも迷惑を掛けちゃいない」
「そりゃそうだ。寧ろゴミ屑の掃除をしたんだからな。ある意味表彰もんだ」
「目立つ事は好きじゃないんですがね」
「冗談だ」
「私もですよ」
 富田が微かに笑みを浮かべ、緩やかに話し出す。
「しかし、最近の餓鬼は限度を知らねえな」
「そう云う意味では富田さんも大概だと思いますよ。あの侭、殺すんじゃないかと思いましたがね」
「糞餓鬼が死んだ所で誰も悲しまん。あの程度の輩を殺した所で、権力で握り潰すのは簡単だ。職務上の結果って具合にな」
「職権乱用ってやつでしょ?」
「そう云う見解もあるがな」
富田がクックックッと笑い声を上げるのを横目に、私はこんな刑事が存在する事に呆れるのを通り越して感動すら覚える。とんでもない刑事だ。
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