愚者
有り体な態度だ。喋り好きと云うよりは、横暴な態度が似合いそうだと恵は思う。だが接客と云う仕事の性質上、露骨に嫌な顔等は出来る訳も無く、恵は最高の笑顔で「宜しくね」と短く答え、男性の腕に自分の腕を絡める。
―今だけ彼氏だと、主人だと思えば良い
何時も心の中で反芻する思い。割り切り方が下手なのは自分でも分かっているが、性格上これ以上は無理だとも思う。エレヴェーターに乗り一階に下りて契約先のホテルへと歩いて行く。街には恵の様なカップルモドキが溢れている。それだけ需要が有ると云う事を改めて思い知らされる。女は男の性的処理道具としてしか見られて無いのだろうか。不意にその様な鬱な気分に成る時がある。
交わす言葉を持ち合わせ無い恵は、押し黙った迄で歩き、契約先のホテルの入り口を潜る。もう何人の男性を相手にしたのだろうか。若しも娘と居る時に客とバッティングしたらかなり気まずい。あの喫茶店のマスターの風貌が何処かで見た記憶がある。多分店の客だったのかも知れない。本能的にそう感じ眼を伏せたが、真意を知るには、既に人数をこなし過ぎている。
―今だけ彼氏だと、主人だと思えば良い
何時も心の中で反芻する思い。割り切り方が下手なのは自分でも分かっているが、性格上これ以上は無理だとも思う。エレヴェーターに乗り一階に下りて契約先のホテルへと歩いて行く。街には恵の様なカップルモドキが溢れている。それだけ需要が有ると云う事を改めて思い知らされる。女は男の性的処理道具としてしか見られて無いのだろうか。不意にその様な鬱な気分に成る時がある。
交わす言葉を持ち合わせ無い恵は、押し黙った迄で歩き、契約先のホテルの入り口を潜る。もう何人の男性を相手にしたのだろうか。若しも娘と居る時に客とバッティングしたらかなり気まずい。あの喫茶店のマスターの風貌が何処かで見た記憶がある。多分店の客だったのかも知れない。本能的にそう感じ眼を伏せたが、真意を知るには、既に人数をこなし過ぎている。