愚者
「いらっしゃい」 
 受付の老婆が掠れた声で受付けをし、エレヴェータに乗り目的の階に着く。
 ラブホテルの室内は独特の饐えた匂いがする。幾多の男女の性行為が行なわれた場所だと思うと本当に複雑な思いが交錯する。
 男は黙って服を脱ぎシャワー室に恵を誘う。遊びなれた流れだ。恵は相手に自分を委ねてシャワーを浴びるとベッドに移動する。
 ギシリとベッドのスプリングが軋む。男が仰向けに成り恵が下腹部へと顔を持って行き、ゆっくりとフェラチオを施すと、男のペニスが徐々に大きく成る。恵は口の中に広がる異物感に耐え乍ディープスロートをしているいと、男が喘ぎ声を上げて軽く頭を叩き陰部を求めて来る。大半の男性がこの流れを求めて来る為、ある意味では仕事の黄金率を会得したと云う事だが、正直複雑な思いが交錯する。生活の為とは云え、慣れる程に堕ちて行く自分に嫌気が差すが、娘の為と云う一身が恵の心を支える。
 スプリングが軋む。恵は自分の陰部を男性の顔に近づけ、自身は、男性の性器を口でマッサージする。陰部に異物が挿入される。快楽よりも痛み。嬉しさより悲しみが恵の心の中に込み上げる。今の瞬間を乗り越える。そうすれば良いだけだと、何度も自分に云い聞かせ乍口と手の交互で何度も男性の性器を刺激し、暫くして男性は派手に射精した。
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