空色パレット
さっきの女装した笹河を見て思い出した。

お見合いのことを。


もうすぐ帰る時間になっちゃうんだ。

嫌だな…。
帰りたくない。


「やっと落ちた…」


ウンザリした顔で出てきた笹河に、あたしは飛びついた。


「どうした?」


「あ…………いや、む、虫がいて」


嘘だよ。
本当は、ただ抱き着きたかったんだ。


笹河は、その嘘を信じた。


半分悲しくて、半分ホッとした。


「そうか。ほら、そろそろ帰るぞ」


「…はい」


小さく頷いて、笹河についていった。


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