愛してるのに愛せない
「じゃあ……俺に、親の記憶がないのは……記憶喪失…?」
だとしたら俺は親不孝者だ…
俺を育ててくれた親を…
死んでしまった親を……
忘れてしまった親不孝者だ……
兄貴は再び…今度はゆっくりと話し始めた。
「そうだよ……海斗。お前は記憶喪失になっている。親のことだけを忘れているんだ…」
兄貴が拳を握り締めているのがわかる。
彩と大輝は俺の顔をジッと見つめていた。
俺は……まだ何かある気がした…
しかし兄貴は話を終わらせる。
「これがお前にあった出来事だ…」
ただ、ただ……沈黙が流れた…