愛してるのに愛せない
沈黙が流れ続けるかと思ったところで大輝が口を開く。
「例え海斗が記憶喪失でも……俺たちは変わらないさ…」
大輝が俺の肩を軽く叩く。
大輝…違うんだ…
お前たちのことを考えてるんじゃない……その言葉は嬉しいけど…違うんだよ…
「しんみりしちゃったね……みんな、気分転換に風呂でも入りな?」
兄貴が気を遣って、話題を変え、俺たちの気分も変えようとしてくれた。
「はーいっ♪」
彩が手を挙げて、元気良く返事をした。
きっと彩も気を遣って空気を変えようとしたんだろう…
「あっ、それと…彩ちゃんと大輝君。俺のことは気軽に光太さんって呼んでいいよ!」
「じゃあ、あたしも彩で良いですよっ!」
「じゃあ俺も大輝でっ!」
みんなが笑って言い合っている中、俺は黙っていた…
会話は全て、耳から耳へ通り過ぎていくようだった…