愛してるのに愛せない


「寝られないのって…両親の話でしょ…?」



しばらく続いた沈黙を破ったあたし。




聞いておきながら、聞いちゃまずかったと思う…




「んー…まぁ…」

「やっぱ…ショック…だよね……?」



海斗は黙ってしまった。



やっぱり…聞いちゃまずかったかな…?



あたしが海斗を見つめていると、海斗は再びお茶をすする。



「ショック…か。それもあるかもな…」

「それ…『も』?」

「うん…。ほら…俺、記憶喪失って言われただろ?だから、育ててもらったのに何も覚えてない……それって親不孝だな…て思ってさ…」


「それは…仕方ないよ…。だって事故でそうなったんだし…」


あたしは海斗に元気になってほしい…


だから、海斗の話を全部聞いてあげるよ…。


「仕方ないって言えば…確かにそうだけど…感謝しきれてないんだよね…」



そっか…


海斗は記憶喪失だということにショックを受けてるんだ…。


両親が死んだことにショックを受けてるんじゃないんだ……。


だったら、あたしが言えるのは…この言葉だけ…
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