愛してるのに愛せない
「海斗…」
「ん…?」
あたしは男の子が怖い……いや、怖かった。
あたしの過去を詳しく聞かないで友達になってくれた海斗…
海斗なら…大丈夫…。
あたしは海斗の手を握る…
「海斗…。親不孝だと思うなら生きていくだけだよ…。どんなにツラくても、悲しくても、苦しくても……必死に生き続けること。それが、海斗にできる最高の親孝行だよ…?」
あたしは海斗の手を握ったまま、顔を見せずに言う。
ギュッ…
あたしは海斗が、あたしの手を握り返してきたことに驚いた。
「そうだな…。彩…ありがと」
海斗があたしに笑顔を向けているのが、なんとなくわかる…。
だって…口元だけは見えてるから…
あたしは、ある決心がついた…
あたしも…家族のことを海斗に話そう…