愛してるのに愛せない


「海斗…」

「ん…?」

あたしは男の子が怖い……いや、怖かった。


あたしの過去を詳しく聞かないで友達になってくれた海斗…



海斗なら…大丈夫…。





あたしは海斗の手を握る…


「海斗…。親不孝だと思うなら生きていくだけだよ…。どんなにツラくても、悲しくても、苦しくても……必死に生き続けること。それが、海斗にできる最高の親孝行だよ…?」




あたしは海斗の手を握ったまま、顔を見せずに言う。




ギュッ…





あたしは海斗が、あたしの手を握り返してきたことに驚いた。



「そうだな…。彩…ありがと」



海斗があたしに笑顔を向けているのが、なんとなくわかる…。


だって…口元だけは見えてるから…




あたしは、ある決心がついた…












あたしも…家族のことを海斗に話そう…
< 92 / 277 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop