愛してるのに愛せない
「海斗…」
「んー?」
「もうちょっと手、握ったままでいい…?」
「…?…いいよ?」
「ありがと…。あたしも聞いてほしいことがあるの…」
海斗はお茶を取って自分の横に置くと、真剣な顔をした。
「相談なら乗るよ…?」
海斗…いつも優しい言葉を言ってくれてる海斗…。
あたしは…海斗になら少しずつ心を開けるよ…
「あたしも…海斗とは訳が違うけど、家族に悩んでるんだ…」
あたしは海斗に家族のことを話した…
本当のお父さんは離婚してからいないこと…
お母さんが再婚するまで家には、ほとんど、あたし一人で家に居たこと…
義理の父がお金持ちということ…
その義理の父と、お母さんの二人とあたしが上手くやっていけないこと…
その全てを海斗に話す…
その間、海斗はあたしの手を握り返したまま黙って聞いてくれた…。
時折、「うん…」とか「そうなんだ…」と言いながらも、あたしの手をずっと握ってくれていた…。
一通り話すと海斗は、あたしの頭を撫でてくれた…。