愛してるのに愛せない
――ジュウ〜…
卵を焼く音が、静かな台所に響く。
4人分作り終わり、あたしはオムレツをお皿に移してテーブルに置きに行く。
「おはよー……早いなぁ…二人とも」
「あっ…おはよーございます♪」
ちょうど光太さんが起きてきた。
「普通のオムレツなのに、美味そうだ!」
並べたオムレツを見て、光太さんがあたしを褒めてくれる。
「オムレツだけかよっ!俺だって作れるわっ!」
海斗が拗ねた顔をして光太さんに怒る。
あたしは、この兄弟が仲良しで羨ましく思った。
「大輝まだ寝てる?」
「あぁ…涎垂らして寝てたよ」
光太さんがクスクス笑いながら言う。
よほど凄いんだろうなぁ…
「マジでっ!?起こしに行くついでに見に行こうぜ、彩!」
「うんっ」
あたしたちは、三人で涎を垂らしているであろう大輝を起こしに向かった。