涙雨
ネックレス
ねぇ もしもわたしが
人間だったならば あなたはわたしに
たくさんの愛をくれたのでしょうか?

お店に並んでいる時 初めてあなたを見たの
こんな素敵なヒトに 自分で飾ってもらいたい
飾ってあげたい そう 思ったわ

「これ、可愛いな」
でしょう だから ねぇ

いま あなたに恋したわたし
いま あなたが首に付けてるわたし

あなたの 大切な女のヒトからの
プレゼント

あぁ なんて 皮肉

あなたはわたしを手にとったとき
「このネックレスよりお前の気持ちの方が嬉しい」
そう 言っていた

その笑顔は わたしをはさんで
別の 人間の 女性に

あなたの 愛する女性に

あぁ なんて 皮肉

でも いま わたしはあなたの首にいる
彼女の知らない時も 2人きり

お話することはないけど
いつも願っているの

「どうか、見捨てないでよ。
ずっと近くに居させてね」

誰も知らない彼の姿
見られるのは わたしだけ
これは わたしの 特権

ねぇ もしもわたしが
人間だったならば わたしはあなたと
巡り合えていたのでしょうか


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