シムーン
一緒に飲んでくれる誰かがいたら、どんなに嬉しいことだろうか?

そう言うヤツがいてくれたら、1人の部屋も少しは狭くなるだろうか?

そんなことを考えながら、ワインを口に含んだ。

「――ふうっ…」

息を吐くと、ソファーに背中を預けた。

鼻から抜ける香りを感じながら目線を上に向ければ、見慣れた白い天井があった。

あいつ、何をそんなに急いでたんだ?

そんなことが頭の中に浮かんで、
「――バカか…」

俺は自嘲気味に笑った。

人のことを気にするなんて、俺らしくもない。

と言うよりも、何故気にする必要があるんだろうか?

そんな小さなことに、俺は思わず笑ってしまった。
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