シムーン
純真無垢――中原真希を一言で言い表すなら、それだな。

汚れを知らなさそうな、そんなイメージがある。

俺とは、対照的だ。

対照的過ぎておかしくなる。

「バカなもんだ」

呟くようにそう言って、一気にワインを喉に流し込んだ。

酔いが躰を回り始めたのを感じた。

そろそろこれくらいにしないと、明日がキツいなと思った。

そう思った時、携帯電話のバイブ音に気づいた。

こんな時間に誰なんだろうか?

ソファーから立ちあがると、携帯電話を取りに足を向かわせた。

ディスプレイを見ると、見知らぬ番号が映っていた。

一体、誰なんだ?
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