アリィ
「実際、あんな顔でアリィを引き止めてたしね」
「だから今も、ほら、あんなに寂しそうにひとりで外見てる」
「ちょっと、あんまり大きい声で言ったら聞こえるよ!」
全部、聞こえてますけど。
分かっていたよ、そんなことくらい。
私は誰からも嫌われてるんだ、私がアリィを嫌ってたみたいに。
分かっていた。
分かっていたけれど、実際に人の口から聞くときついかもしれない。
「かもしれない」だなんて言葉をにごして、とっさに強がろうとするのはますます痛々しい。
分かってる、そう言い聞かせて先回りして、傷つくのを最小限にしていたことに、今気づいた。
傷つけたほうは、とことん無邪気だというのに。
私は微動だにせず窓の外を見つめ続けている。
なんだか、さっきまでより世界が小さくなった気がする。
ふと、デジャヴにおちいった。
人工的な金色の髪をきらめかせて、正門から『ギャル』が侵入してくる。
以前、驚くほど姿を変えて登校してきたカナエ達を見つけた、あの瞬間が再現されている。
……と、三人組の後からもうひとり『ギャル』がついてきているのが見えた。
違う、これはデジャヴではない。