アリィ
「もしかして、あれってアリィ!?」
「なんだよアイツの格好!」
「昨日のって、仲間にならないかって誘いだったわけ?」
「ねえ、後藤さんは何か知らないの?」
普段はこちらを見向きもしないくせに、みんなこんなときばかり話しかけてくる。
いつだったか、アリィの面倒を見るために早く学校に来いと言ってきた女子達も、食い入るように私を見ている。
「……知らない」
もう必要以上にしゃべりたくなくてそう一言つぶやいたら、みんな引きつった顔をして引き潮のように去って行った。
知るわけない。
アリィが『ギャル』に興味津々で、カナエ達にあこがれていたことを知っていた私だって、
まさかこんな展開になるとはまったく想像できなかったんだから。
アリィが、本当に『ギャル』になってしまうなんて。
似合ってないよ。
どんなことしたって、アンタは不細工なんだから。
そうだ、私が教えてあげないと。
だって私はアリィの『親友』なんだ。
私だけが、ずっと、アリィの『親友』だったんだ。