まーくんの部屋
正常な意識を保つために、私は少しずつでも場所を移動した。
日が落ちて、ゆっくりと暗闇と明かりを行ったり来たりして
いつしか眠くなり、そして寒さで目が覚める。
すると張り詰めた空気の中、スーツ姿の男女が少しずつ駅からこぼれおちてきて
それで私は朝が来たんだと気づく。
朝と夜をそういう風に数え、
自分は日に1食しか食べないようになっていると気づいた。
そして、袖をまくり腕を見てみる。
辺りは暗かったけど、
近くのオフィスビルからの光でぼうっと見えた。
確かに痩せたかもしれない。
その時、過去の遠い地の、あの子の顔が浮かんできた。
これであの子みたいに細くなれるかも…
そう考えてハッとした。
いまだにそんなことを考えている自分が、恐ろしく愚かに思えた。
すると自然と口から笑いの息が漏れた。
私、このまま死ぬのかな…
今日になって、残金を見るともう80円しかなかった。
それでも、ここに来たことは後悔していない。
ああ、私 死ぬんだ…
「大丈夫?」
そう考えていると、突然声がした。
頭を上げると、目の前には男がいた。
いや、正確に言うと、男「達」が。