君が、イチバン。
溜息ってなんだ。目をパチパチさせる私に瑛ちゃんが苦笑する。いつも通りの緩い顔。それから、
「しいちゃん…なんか色々行き違いががあるみたいだから整理しようか」
なに、ちょっとこわい、その笑顔。
「う、うん。いや、なんか別にいいかな?」
「良くないよね?」
はい、良くないですね。
シリアスなさっきまでの状況はどこに消えたのか、瑛ちゃんはまるでアホの子を見るように労わる目線で私を見る。なに、すごく虚しいんですけど。
「まず、しいちゃんに恋愛資格授与したのは誰?美少年君あたり?」
名推理だとコクンと頷く私。
「背中を押したのは?」
「一条さん、Laiの副支配人さん」
瑛ちゃんは少し考えてからああと呟く。
「そんなとこにも伏兵がいたんだね。侮れないな」
どういう意味だ。
「だけど、瑛ちゃんがいたからだよ。根っこに瑛ちゃんがいてくれて、私のなんかドロドロしたのを溶かしてくれたから。だから素直に受け止められたんだと思う」
私の居場所はもう決まっていたのに抜け出せる訳ないじゃないか。