君が、イチバン。

「うん、しいちゃん。それ先にいおうね。しいちゃんはちょっとお馬鹿さんだったみたいだね?話も聞いてた?聞いてなかったなら最後まで話を聞こうね。あの流れで、よく自分を候補に出せなかったね。全力で口説く気だったのに、聞きたくないっていうから大人しく振られる気でいたら、あんな顔して煽るし。なんなの。本当、まいる」

どうゆう事だと、まだ目を白黒させる私は確かに馬鹿なのかもしれない。いや、多分馬鹿だった。ゆっくりその意味を考えれば、顔が無意識に熱くなる。私の作り笑いが通用する相手じゃないのに。


「鈍感ではない筈なんだけどね?」

瑛ちゃんが、なんでかな、と首を傾げる。柔らかい髪がフワフワ揺れて、やっぱり触りたいなと思う。

「無神経が正解かと」

四宮君、君はやっぱり正解だ。

はぁ、とまた溜息をつく瑛ちゃん。それから私の頭を撫でる。でも、ちょっと待て、

「いや、だから、あのベリーショートの人」

もうなんかどうでも良くなってきたけど。

「ああ、忘れてた」

忘れてたの⁉︎結構モヤモヤしたんだけど私!

「昔お世話になった人だよ。今はただのお客さん。関係ないから。しいちゃん以外に勃たないから。シャワー浴びてたのはその人がコーヒーぶっかけてくれたからね。部屋に入れるつもりなかったんだけど勝手に入ってきたみたい」

ごめんね?と瑛ちゃんは謝る。

もう、なんか毒気抜かれたっていうか、もう、なんか、なんなの。
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