Camellia【短編】


「待って!!」


やだよ。あたしじゃなかったら、とんだ恥さらしだよ。

綺麗な想い出に収まってよ。

あたし達は言葉を交わさない。

そうでしょ?


先生。


「待って!!!!つばきっ!!」

あの日と同じ衝撃が腕にはしる。

「こっち…向いてよ」

ムリだよ。
だって頬が熱いし、濡れてるもん。

イヤイヤと頭を振れば腕を引かれる。

優しく、強引に。

「やっと…話せた」


ニコッと笑う先生。


「ずっと、話たかった」


切なそうなその瞳は、ずっと見てきたもので。


初めてあたしだけに向けられる声はあたしの鼓膜を心地よく揺らす。
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