口紅
17才
私、今好きな人がいる。
今までも、付き合ったりした事はあるけど、
今度の恋は本気かもしれない。

守ってあげたいって、思った。私。
目が離せないの。ほっとけないの。
私が、ついといてあげないと。

そうおもった
でもね、本当は、守られたい。

守ってもらえる存在に、なりたいの。

相手はきっと私のこと、友達と思ってる。

でも、知ってほしいから。

私、きみが好き

そんな気持ちの2月14日。

バレンタインデー

私はチョコ嫌いだから、ケーキを作ろう。
そう思って作ってみたけど……。

もっと家事の手伝いしとけばよかった…。

「どうしたの?こんな夜に。」
落ち込んでいる私にお母さんが声をかけた。

「……」

まさか告白するためのケーキ作ったけど
失敗したの…なんていえるはずもなく、
私は沈黙した。

お母さんは、そんな私を見かねたのか、

「ケーキ、作りたいの?」と聞いてきた。

こくん、と私はうつむきつつ頷いた。

「よし、じゃあ作ろう!」







「あの、あの、……す、」
「す?」
「す、き、」
「す、き?」
「………スキデス」
「え?なんて?」

ここまで言ってわかんないのか…

私は乙女心を理解してくれないもどかしさと、恥ずかしさで、いっぱいになり、

「すきだってば!あんたがすきなの!!」
……爆発してしまった…。

案の定彼は、きょとんとしていた。
しかし、だんだん顔が真っ赤になってきた

そんな彼に、こっちまで恥ずかしくなり、

「わっ、悪い?」と、意味不明な事をいってしまった。

たえきれず、ケーキを押し付けて、走って逃げた。


ともかく渡せた。……よかった。

お母さんの口紅のおまじないの、
おかげかな。

お母さんの口紅を薄く塗った唇を、そっと
撫でて、顔を赤くした。
< 3 / 5 >

この作品をシェア

pagetop