Love Step
「クッ……」

柔らかい肌、風呂上りの石鹸の香り、乱れた息づかい……。

どれも俺の自制心を狂わす要素。

一番の要素は俺が狂おしいまでに杏梨を愛しているという事だ。


父親の言葉などかまわないくらいに自制心はあと少しのところで切れそうだった。


「どうして……?ゆきちゃん……?」


なかなかキスをしてくれない雪哉に杏梨は更に不安そうな瞳を向ける。


「杏梨……」


その瞳は反則だ。


とうとう雪哉は艶やかなピンク色の唇に唇を重ねた。


甘い唇にキスをすると更に湧き上がる欲望。


渇いた喉を潤すようにどんどん杏梨が欲しくなる。



「口を開いて……」


そう言うと素直に口を開く杏梨。


ピンク色の舌がのぞいた。


その舌に吸い付き、絡ませる。


「ん……ふっ……」


杏梨の甘い吐息が雪哉の耳をくすぐる。


「ゆきちゃん……だいすき」


「杏梨、愛しているよ」


雪哉から愛しているよと囁かれ、杏梨の胸はきゅんとなった。


「……もっとキスして ゆきちゃんにもっともっとキスされたいの」


うわぁっ……わたし、なに言っちゃってるんだろう……。


「積極的なのに恥ずかしがっているのかい?」


頬を赤らめた杏梨が自分の胸に顔を埋めるのを見て雪哉はクスッと笑った。


可愛すぎてもっと啼かせたくなる。


クルンと上を向いた睫毛が紅くなった頬に影を落としている。




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