Love Step

悩み

ゆきちゃんの作ってくれたチャーハンとわかめスープを食べる時には、だいぶわたしの気持ちも落ち着いていた。



「ゆきちゃん……おいしいよ」



「たくさん食べて」



ゆきちゃんはまだチャーハンとスープには手をつけていなくてビールを飲んでいる。



「うん」



「夏休みの課題は終わった?」



「うん なんとか 香澄ちゃんに手伝ってもらったの」



「あぁ 田舎から戻ってきているんだね 元気?」



「すっごい元気 向こうで遊びすぎたーって」



「田舎か」



2人には田舎というものがない。



雪哉の両親も杏梨の両親も東京出身ですでに親たちは亡くなっているからだ。



「小さい頃、田舎のあるお友達がすごく羨ましかったの」



夏休みになると長期間、田舎に帰ってしまう友達が羨ましかった。



「俺もそういう時期はあったよ 小学校の低学年だったと思う」



「ゆきちゃんもそう思った事があったんだね」



なんだかホッとしたような嬉しい気持ちだ。



「父親が仕事人間だったからね 鍵っ子だったし」



「ゆきちゃんちのお隣になれて良かった」



「杏梨を初めて見た時、とても可愛くて天使みたいだと思ったよ」



にっこり笑ってビールを口にする。



「て、天使っ?……今は全然違うね?って言いたいんでしょうー」



驚いてから大きな目で睨む。



雪哉は笑った。



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