空白の玉座
ジェイスを挟んだ反対側のリークを気にするようにセシは小声でジェイスに話しかけた。
「父さんが、たまには家に顔出せって言ってたよ。母さんも寂しがってる」
「そういや、家借りたんだっけ?てっきり宿舎に入るもんだと思ってたのに」
ジェイスの代わりにリークが答えた事にセシはあからさまに顔をしかめた。
「仕事以外は王宮の外の方がのんびりできるんだよ」
ジェイスの言葉にセシが「俺の言ったこと気にしてる…?」と呟いた。
「俺が本当の兄貴じゃないって言ったこと」
俯くセシの黒髪をそっとジェイスは撫でる。
「気にしてないよ。この歳で実家に頼りきりなのもどうかと思ったんだ。それにおまえがそれ言うのはいつものことだろ」
「…そうだけどっ」
笑うジェイスを見上げながらセシはそれ以上何も言わなかった。