空白の玉座
広い王宮を回りながら、セシは初めて見るものに興味深く視線を向けていた。
「あそこからが王族の居館だよ。特別な位の人や許可を受けた者でないと入れない」
ジェイスの指差す先には重厚な扉、前には見張り役の兵士が立っている。
「ジェイスは入れるの?」
「まあね」
「俺らは親衛隊第一部隊だからな…それにしても」
リークがセシにぐっと顔を近づける。セシは驚いて少し身を引いた。
「黙ってれば女でも通りそうだなぁ。15、16にもなればちょっとは男らしくなんのかな」
「………俺は今年で15だよ!」
踵を返して走り出したセシの後ろ姿をリークが唖然と見つめる。
12、3くらいかと思った、と呟くとジェイスは頭を抱えて溜め息を吐いた。