空白の玉座
足早に歩いていると、セシは建物の影から出てきた人物に真正面からぶつかった。
「わっ、……ごめん」
思い切りぶつかった顔を押さえながら見上げると、随分背の高い男だった。
「アラ、可愛い子。大丈夫?」
癖のある赤茶色の髪に、涼しげな目元と笑顔。
色気を含んだ美しい顔の男性から降ってきた言葉にセシは思わず2、3度瞬きした。
「あ、ロラン!ちょうど良かった、そいつ捕まえてくれ」
固まったままのセシに追い付いた2人が駆け寄ってくる。
「迷子になる気かよ…ったく」
一応責任を感じているのか、リークはバツの悪そうな顔をした。
「ロラン、彼がセシだよ。セシ、その人はロランで第1部隊の仲間だよ」
ジェイスが紹介するとペコリと頭を下げたセシに、「いつも聞いてるわ」とロランが答えた。
「隊長にそっくりね。あ、そうそう。隊長がお呼びよ、アメリア様のお部屋にきてくれって」
ジェイスは頷くと、隣のセシにお前も来るかと声をかける。彼は満面の笑みで頷いた。
こういうとこが“可愛い”って言われる原因なんだよな、とジェイスは頭の中で呟いた。
「わっ、……ごめん」
思い切りぶつかった顔を押さえながら見上げると、随分背の高い男だった。
「アラ、可愛い子。大丈夫?」
癖のある赤茶色の髪に、涼しげな目元と笑顔。
色気を含んだ美しい顔の男性から降ってきた言葉にセシは思わず2、3度瞬きした。
「あ、ロラン!ちょうど良かった、そいつ捕まえてくれ」
固まったままのセシに追い付いた2人が駆け寄ってくる。
「迷子になる気かよ…ったく」
一応責任を感じているのか、リークはバツの悪そうな顔をした。
「ロラン、彼がセシだよ。セシ、その人はロランで第1部隊の仲間だよ」
ジェイスが紹介するとペコリと頭を下げたセシに、「いつも聞いてるわ」とロランが答えた。
「隊長にそっくりね。あ、そうそう。隊長がお呼びよ、アメリア様のお部屋にきてくれって」
ジェイスは頷くと、隣のセシにお前も来るかと声をかける。彼は満面の笑みで頷いた。
こういうとこが“可愛い”って言われる原因なんだよな、とジェイスは頭の中で呟いた。