空白の玉座
続き部屋のドアが開く音がして人の声が聞こえた。
思わず体がビクンと跳ねる。
「ノイン様、お止まりください。お留守の際、どなたも入れるなとのご命令です」
「うるさい!お黙り」
バタバタと数人の足音が隣の部屋に響く。
ルシアはそっと薄く開いたドアの隙間から外の様子を窺った。
「どうぞ、ご退室ください」
「誰に向かって口を聞いているのだ!私はこの国の王妃!私に命令できるのは王だけよ、さぁお下がり!」
王妃という女性は長く垂らした黒髪を翻しこちらを見据えた。
「!!」
ルシアは慌てて体を隠す。
女性と目があった気がした。
バクバクと心臓が音を立てる。
次に聞こえ始めた足音はこちらに近付いてくるようだった。
息を呑んだとき、低い聞き覚えのある声が遠くに聞こえた。