空白の玉座



結局、兵士に案内されてセシはアメリアの部屋へとたどり着いた。

「遅いから心配していたところでした」と、侍女に髪を手入れされながら鏡越しにアメリアは微笑んだ。

エメラルドグリーンの瞳が自分を捉えてドクンと心臓が跳ねる。

瞬時にセシは視線を外す。
赤くなった顔を俯かせた。

アメリアがふふっと笑って振り返る。

「ジェイスは心配性よね、1人には絶対ならないで下さい、だなんて。あなたと話せるのは楽しいけど」

「…ジェイスは根拠もなしに言ったりしないです。小さな事でも変わった事があったら言ってください」

セシは室内を見渡した。
戻した視線の先の侍女を見つめて、「その人は前からいる人ですか?」と聞いた。

アメリアは後ろに立つ侍女を鏡越しに目を丸くして見る。
侍女も気づいて視線を合わせた。




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